小僧さんの雲水日誌です。
大学三年生の頃、学校を休学して萬福寺僧堂へ入ることを決めました。
そこでの生活のお話です。
【第三章 四節】 開浴と剃髪
開浴 作務で汗を流し、夕方の坐禅を乗り越えた後の楽しみが開浴(入浴)の時間です。しかし、お湯に浸りながら一息つく時間はありません。実はお風呂に入れる時間は線香一本分と決まっているからです。入浴前に禅堂に小さい線香を立て、...
小僧さんの雲水日誌です。
大学三年生の頃、学校を休学して萬福寺僧堂へ入ることを決めました。
そこでの生活のお話です。
開浴 作務で汗を流し、夕方の坐禅を乗り越えた後の楽しみが開浴(入浴)の時間です。しかし、お湯に浸りながら一息つく時間はありません。実はお風呂に入れる時間は線香一本分と決まっているからです。入浴前に禅堂に小さい線香を立て、...
作務 通常、生活の大半は「作務」をします。掃き掃除や仏具磨きなど、境内や堂内を清潔に保つことも修行の一環。雑草も命、腰を落として一本ずつ大切に抜いていきます。 草抜き ある日、先輩不在の為、私たち同夏は草抜きを任されまし...
坐禅 睡魔との戦を坐禅と言う也。そんな迷言が誕生する坐禅の時間。鳥のさえずりや優しい風の音が子守唄のように聞こえてきます。気付くと先輩が鬼の形相で目の前に立っており、警策を振り下ろします。1回で覚醒できれば良いのですが、...
僧堂の朝 まだ夜が明けきらない薄暗い時間に、板を叩く音が聞こえます。境内各所に設置された多くの巡照板じゅんしょうばんと呼ばれる板を叩き多くの僧侶に時間を知らせます。その板に書かれた謹白大衆きんべだーちょん 生死事大せんす...
退堂 入堂してから一年が経過しました。私は復学や就職活動のために退堂することとなります。入堂した時と同様に、退堂するにも準備が必要となります。中でも、師匠からの手紙を頂くことが重要となります。何故かというと雲水が個人で退...
後輩現る 年始の行事も無事終わり、よくご指導頂いた先輩も下山された頃です。やっと落ち着いたと思ったら、新たな連絡が入りました。それは、私たちに初めての後輩ができることが決定したのです。嬉しい反面、不安もありました。なぜな...
元旦 元日未明、禅堂から報鐘ぱうちょんが鳴り響きます。それを合図に開静かいじょう太鼓、雲版が鳴り…新年最初のお勤めが始まります。 年頭法要 それが終わると、年頭法要の準備に移ります。萬福寺の正月三が日は、大般若転読会が行...
臘八大摂心ろうはつおおぜっしん 師走にはとても過酷な修行が待ち受けています。その名も臘八大摂心ろうはつおおぜっしん。臘月ろうげつの八日間(12月の1日から8日夜明けまで)心と向き合います。お釈迦様が七日間坐禅をし八日目の...
京都は底冷えすると言われています。雲水衣も夏用から冬用に変わりましたが、冷えの原因である足は裸足のまま。寒い寒いと言いながらも耐える日々でした。そんな季節に「施粥せしゅく廻り」というものがあります。 施粥廻り 12月に厳...
普度勝会 少し肌寒くなってきた頃、萬福寺では普度勝会という秋の法要が行われます。しかしコロナ禍で、本来の色鮮やかな装飾仕様とは異なった法要となりました。 落葉 そして秋といえば私たち雲水を困らせるものがあります。それは…...