兎のお世話が好きだった恩林寺の小僧です。
小学生の頃、兎の世話当番がありました。
キャベツを与えたり、糞の掃除をしたり…可愛い兎を見ているだけでも幸せだった気がします。
大人になると、ほとんど用務員さんが世話をしていたんだなと分かります。
今では動物虐待(小学生など知識が無い子たちが触ってはいけない)などと言われる学校もあるそうで…世の中寂しくなっていきますね。
卯年の仏さま
実は十二支を各々司る仏さまがおられます。
私の誕生年である卯年の仏さまは「文殊菩薩」と言います。
獅子の背中に乗り、右手には文殊剣、左手には経典を乗せた蓮を持っています。
文殊剣は知恵を司る、正しい方向に導いてくれるとされており、また左手にも経典があるため、知恵を授ける仏さまとされています。
守護仏
私たちは生まれつき仏様とご縁が結ばれています。
その一生を守ってくださるのが守護仏といわれています。
この仏様は干支によって違い、自分の仏様を信仰するとご加護がもらえることがあるとされているようです。
干支 | 守護仏 | 主なご利益 |
🐭子年 | 千手観音菩薩 | 苦難除去、現世利益、病気平癒など |
🐮丑年・🐯寅年 | 虚空蔵菩薩 | 成績向上、記憶力増進、頭脳明晰など |
🐰卯年 | 文殊菩薩 | 智慧明瞭、学業成就など |
🐲辰年・🐍巳年 | 普賢菩薩 | 減罪、増益、延命、邪気祓いなど |
🐴午年 | 勢至菩薩 | 智慧明瞭、家内安全、除災招福など |
🐵未年・🐑申年 | 大日如来 | 現世安穏、所願成就など |
🐔酉年 | 不動明王 | 災招福、戦勝、悪魔退散、修行者守護など |
🐶戌年・🐗亥年 | 阿弥陀如来 | 息災、延命、極楽往生、現世安穏など |
維摩経
また維摩経には、維摩居士という人と対等に問答が出来たのは文殊さまだけとされています。
維摩居士さんはとても賢く、問答でかなう者がいなかったほどでした。
このようなエピソードから、知恵を授けるとされたのでしょう。
文殊さまは、普賢菩薩さまと共にお釈迦さまの脇侍として祀られていることが多く、名前は聞いた事がなくとも見たことはあるのではないでしょうか?
実在した人物!?
文殊さまは、モデルになった人がおられるそうです。
文殊師利般涅槃経にでてくる、舎衛国のバラモン階級の家に生まれた梵徳という人です。
舎衛国というのは古代インドのコーサラ国の首都であり、バラモンというのは身分制度での最高階級のことを指します。
梵徳は釈迦十大弟子とも親しかったとする説もあります。
仏典結集(経典を書物にまとめる作業など)に関わったとされており、そこからも「知恵」のイメージがついたのかもしれませんね。
舎利弗 | 智慧第一 |
目連 | 神通第一 |
摩訶迦葉 | 頭陀第一 |
須菩提 | 解空第一 |
富楼那 | 説法第一 |
摩訶迦旃延 | 論議第一 |
阿那律 | 天眼第一 |
優波離 | 持律第一 |
羅睺羅 | 密行第一 |
阿難 | 多聞第一 |
学問の仏さまでは無い!?
文殊さまをご存知の方はよく「勉強の仏さまだ。」と言われます。
しかし、厳密には間違っています。
学問などの知恵を司る仏さまは虚空蔵菩薩という方の役割であり、文殊さまは智慧(正しく見極める力や判断力)を授ける仏さまなのです。
だからこそ僧堂では、聖僧さま(文殊菩薩が僧侶に変化した姿)を安置します。
修行は勉強だけではありません。仏教の正しさを護るのが僧侶であり、その正しさを導いてくれる文殊さま(聖僧さま)は修行僧を見守っているのです。
(萬福寺には観音様が安置されています。理由は、また次の機会にお話しいたします。)
小僧さんの思い
三人よれば文殊の智慧と言いますが、正直、小僧が三人集まってもうるさいだけのような…😅
しかし、人の意見を聞く事と自分の思いを話すことは大事なことであります。
文殊の智慧というのは、物事を正しく判断する(見極める)こと。
三人いたら、きっと良い折衷案が出てくるのではないでしょうか?
そして誘惑や悪事も止められるのではないでしょうか?
私はこの諺には深い意味があると思っています。
三人で行う兎の世話当番。
私自身は餌を与えるくらいしかしておりませんでした。
同じ当番の子たちは水を変えたり、掃除をしたりしているのに…。
やはり、しっかりしている人がいないと文殊の智慧はきっと頂けないような気がしますね😭😱
小僧合掌