【第二章 七節】 秋の便り

【第二章 七節】-秋の便り
【第二章 七節】-秋の便り

普度勝会

少し肌寒くなってきた頃、萬福寺では普度勝会という秋の法要が行われます。
しかしコロナ禍で、本来の色鮮やかな装飾仕様とは異なった法要となりました。

落葉

そして秋といえば私たち雲水を困らせるものがあります。
それは…いやという程の落葉。
境内に生えている木の数は尋常ではありません。
松ぼっくりが頭の上に落ちて痛かったり、掃除を終えた翌日には元通りに…。

銀杏

特に私たちを苦しめたのが銀杏。
ある日、私たちがいつものように掃き掃除をしていると、本山の職員さんに声をかけられました。
「そこにある銀杏、食べたいから取っておいて欲しい。」
ゴム手袋をして、呼吸を止めながら、あの臭いと格闘。
およそ一週間かけて分別し無事、職員さんにお届けできました。
銀杏の上に尻もちをついた私は、作務衣の匂いが取れません。
おかげで同夏から「屁こき」という有り難い名前を頂きました。

誕生日

十月は私の誕生日。
貼庫てっく(料理係)は、大豆ハンバーグを御馳走してくれました。
同夏達は部屋の明かりを消し、ロウソクを灯し、誕生日を祝ってくれました。
暖かい同夏達の心遣いに心が揺さぶられました。
屁こきの辛い僧堂生活の中で、今でも鮮明に思い出せる嬉しい一時を過ごしました。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。