かんのんさま(続)
頭陀袋で紹介するかんのんさまの原稿について、かねてから愛染、霊泉寺様のご本尊さまを紹介したいと考えておりましたところ、和尚様のご協力の下、ご縁をいただくことができました。
飛騨三十三観音霊場を車で巡拝する時は、第九番・大憧寺(飛騨一之宮町)、第十番・霊泉寺(千島町)、国道41号を北上して第十八番・恩林寺というルートだと、効率的だと思います。
いわば霊泉寺様は隣寺というわけです。
霊泉寺
国道41号、高山工業高校前交差点より南へ50メートル程の山側に飛騨三十三観音霊場の幟が目印になっています。
予め、和尚様に取材をお願いしておりましたので内陣へ案内いただき、ご本尊様にお詣りさせていただきました。
ここのご本尊様は聖観世音菩薩、慈愛に満ちた表情は素晴らしいもので、東京国立博物館の学芸員が折り紙を付けたとのことでした。
このお寺には愛染明王をお祀りする愛染堂があり、愛染さんといえば霊泉寺、とお寺の代名詞となっております。
そんな霊泉寺ですが、中興である一如素心尼は、円空上人と同じように山上に石棺を埋め、自らが生きたまま入定され(亡くなられ)たといわれています。
また大正から昭和にかけて住職をされた塚本豊光尼は如来講という講義の時間を設け、真言宗の教えをひろめたといわれています。
お寺には円空作「愛染明王像」、郷土の版画家「守 洞春」の日展入賞作である愛染明王の版木、松泰寺(西之一色町にあった)の仏像など多くの宝物が伝わっております。
令和四年の秋、愛染明王ご開帳を記念して、高山市一之宮町在住の代情琴郎さんは「あいぜん遍路道を巡る」と題し、霊泉寺の解説や歴史、仏堂、遍路道の案内、真言宗の教えやお寺から眺められる北アルプスの景観、この地を好んだ梅村知事、宮原知事のことなど、霊泉寺山全体についての案内本を執筆され、お寺として刊行されています。
それにしても、これからの寺院の在り方やひたむきな布教活動など、この機会に勉強させていただきました。
今月の言葉
自分だけ沢山、水を使ってはいけません。水は仏さまだ。
水を無駄にする人は仏さまを大切(だいじ)にしない人だ。
自分の命が大切なら、水の命も大切だ。
道元禅師
住職合掌