頭陀袋040 平成27年10月号

坐禅の入門

今月は坐禅についての解説をいたします。恩林寺の早朝坐禅会の資料よりご案内をいたします。

みなさんはようございます。今朝は早朝坐禅会ということで皆さんにお集まりいただきました。ご存知のようにこのお寺は禅宗の中の黄檗宗に属し、曹洞宗、臨済宗と同様、坐禅による修行を第一とする宗派であります。 『唯心の浄土、己身の弥陀』といいますね。 座禅によって、身心を整えることが大切です。

大本山萬福寺では、毎日の日課として、まず午前四時半に起床の合図である版木がなります。謹白大衆、生死事大、無常迅速、各宜星覚、謹勿放逸。 あの広い境内に、各所に版がつるしてありこれを鳴らしながら一巡します、(典座司、テンゾースー。 阿弥陀、オミトー)と返事があります。

この合図があると、15分以内に洗面、着替え、出頭、といって回廊に集まり、本堂に整列します。

此処から鳴り物入りの朝のお勤めがあります。黄檗のお経は節回しがたいへん難しく、梵唄(ぼんぱい)といわれております。

朝課は三十分かかりますが、恩林寺ではこのあと、歴代の和尚さんのお経、檀信徒様の先祖回向、難病で苦しんでおられる方の病気回復祈祷、最後に檀信徒さま、ご縁のある皆様の今日一日の健康祈願、交通安全、諸縁吉祥を念じてあさのお勤めとしております。 これが終わりますとおよそ一時間がかかります。

黄檗山の話にもどりますが朝課が終わりますと,禅堂という座禅をするお堂に異動しまして、ご本尊の観音菩薩に般若心経をお読みしまして、各自の単(自分の席)に着きます。すると大きなヤカ ンを持つた和尚さんが現れて、各自の湯のみに梅湯を注ぎます。これで心と体を引き締めて座禅に入ります。

座禅は下あごを引いて,結跏咲坐、あるいは半跏咲坐、あるいは正座します。
頭のてっぺんからお賽銭10円を落とすとしりからぽとんと、おちるような姿勢です。前後、左右ゆっくり体を動かして、体制を整えます。

舌べろを上あご、歯の付け根に固定します。 座禅の時間は一柱といって線香一本が燃え尽きるまでの時間を言います。座禅の時間は、ときに二柱、三柱のこともありますがほとんどは一柱です。時間は約四十分。途中、痺れを治したり、姿勢を直したりすることが許されますが、他人の迷惑にならないようにします。座禅は数息感といって、吐く息をゆっくり一から十まで数えます、また一までもどって十までゆっくり数えます。なぜ吐く息かといいますと、吸う息は呼吸を引き取る。つまり死んでしまいますね。
人間は生まれるときは満潮のとき生まれ、死ぬときは干潮のときに死んでいきます。われわれ好むと好まざるとに関わらず自然の摂理というものはそうしたものなのですね。

黄檗山では、座禅の時間に入りますと、裏山で、カラスがさかんに鳴きます。少し慣れてくると、どういうわけか、この泣き声がぜんぜん気にならなくなります。恩林寺ではどんな音がきこえますかね?

では座禅の姿勢、座禅中の鳴り物についての解説は経本の一番最後のところを見てください。 座禅前の般若心経はそのうち経本なしでも唱えられるよう、練習が必要です。では、私たちも、座禅に挑戦して見ましょう。

さて、座禅はまずその態を重要視します。曹洞禅では只管打座と言って、ただただすわることを第一とします。臨済禅では、公案と言って座っている間中、考える、たとえば、片手の音を聞いたこ とがあるか? 片手の音とは? 考えながら座禅をします。私たち入門の段階では先ほど申しましたように、まず姿勢を整え、一から十までをゆっくり数えるところからはいればそれでよいと思います。それでは、萬福寺の講習本から座禅に入る手順を紹介いたします。

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古田住職
皆さん、こんにちは。住職の古田正彦といいます。 私は「お寺に行こう 和尚さんと友達になろう」をキャッチフレーズに進めています。 小さなきっかけでも仏様と結ばれることを喜びとしています。