【第二章 五節】 夏休み

【第二章 五節】 夏休み
【第二章 五節】 夏休み

棚経廻り

お盆の時期を迎え、雲水も出身寺院で棚経たなぎょう廻りを行います。
しかし萬福寺での棚経廻りもあるため、私と同夏(同期)・先輩の各1名が本山に残ることになりました。
三人で壇信徒さんの各家に事前に訪問する時間をお伝えして計画を立てました。
しかし、そんな時に限って悲しい出来事が起こります。
残るはずの同夏の師匠が亡くなられてしまったのです。
急遽、その同夏は帰郷することになり、私と先輩だけが残されました。
さあ、ここからが大変。
三人でやっと廻りきれる計画でしたので、帰った同夏の分をどうすべきか悩みました。
先輩はとても温かく、同夏の分の殆どを私に任せっぱなしとなりました。
そのお陰で私のスケジュールは大変厳しく…。
さらに、いつもなら同夏で分担して行う作業も私一人の肩に重く伸し掛かってきました。
毎朝お堂の門を開け、先輩を起こし、朝食(粥)を作り…。
棚経廻りから帰った後は清掃等や、就寝前の太鼓など…一人で行うと普段の生活がとても有難く感じました。

暫暇

その後、私達にも暫暇ざんか(帰郷期間)が与えられます。
高山へ帰省し、親族や和尚と再会し、元気な姿に一安心。
しかし私の夏休みは一日だけ。
故郷を離れる寂しさや修行生活が再開する辛さが混じりあい、涙を流しながら、本山へ向かうのでした。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。