【第一章 二節】 庭詰

さて、出発の時がきました。

網代笠を被り、法衣を腰まであげて、脚絆をつけて草鞋を履いて…。
同じ格好をした三人が各々塔頭の和尚に続いて歩いていきます。
萬福寺の総門をくぐる時は

もう戻れないんだな

と覚悟を決めました。

禅堂に足を踏み入れ…

一般の方が立ち入れない禅堂に足を踏み入れ、新倒頭(私たち新人のリーダー)が「たのーみまーしょー!」と大きく声をかけます。
それに続いて「たのーみまーしょー!」と私たちも声を出します。
これは僧堂の方々に「頼みます、どうか出てきてください。」とお願いをしているのです。
しかし1回じゃ出てきてくれません。何回も何回も声をかけるのです。
すると「どーれー!」の声とともに修行僧が出てきます。
その時、襖を勢いよく開けるので驚いてしまいました。
その後「第十八教区恩林寺徒弟…」と名乗り、僧堂に入りたいと懇願します。

入堂を断られる!!

出てきた修行僧一人では受け入れるか決められないため、奥の方で話し合ってからもう一度出てきますが…なんと、入堂を断られるのです。私は断られた時

『帰りたい…こんな厳しい所は嫌だ』

と感じていました。

しかし、ここで引き下がっては僧侶への決意が足りません。
更に懇願し続けます。
頭は伏せたまま、玄関でひたすら待ち続けるのです。
そのような格好のまま、二日間我慢することになります。
とても時の経つのが長く感じる二日間でした。
「こんな辛さが、これから毎日続くのか?」と思うと気疎く感じました。
そして二日経つとようやく熱い思いが伝わり、三日間の幽閉試験が行われます。
それが済むとようやく修行僧としての生活が始まるのです。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。