【第五章 一節】 巡照

巡照
巡照

巡照 萬福寺の一日を告げる役職

早朝の静寂を破り、コン、コンと響き渡る木版を叩く音。
それは、まだ夜の帳が深く垂れ込める中で、萬福寺の一日を告げる最初の合図です。
寺院全体に生命の息吹が吹き込まれる瞬間。
この厳かで大切な寺の始まりを司るのが、「巡照」という役職です。

早朝の巡照 静寂を破る始まりの合図

私は幼い頃から早起きの生活をしていたので、この仕事は平気だと思っていました。
しかし、その余裕はありません。
眠気と戦いながら、巡照板(木版)を叩きます。

そして、境内に響き渡る大声で「謹白大衆きんぺいだぁちょん〜」と唱えるのです。
朝から声を出すよりあくびを出す方が喉が開くような気がしました。

境内には巡照板が4つ。
同じ時間に目覚められるよう、正確に、かつ迅速に、すべての巡照板を叩いて回らねばなりません。
そのため、暗い中を駆け回ります。
朝から走るのも一苦労。
最後の巡照板を叩く頃には息が切れておりました。

その後は総門、諸堂を順に開けていきます。
明かりを灯し、準備万端になるまでが巡照の仕事なのです。

静かに締めくくる巡照 一日の終わり

一日の終わりを締めくくるのも大切な役割です。

開枕かいちん太鼓(就寝前の太鼓)を鳴らし終えた後、巡照板を叩きます。
夜は皆が寝る準備をしているため走ってはいけません。
ゆっくり叩き、柔らかい声で「謹白大衆〜」と唱えるのです。

明かりを消し、戸締りを確認して長い一日が終わるのでした。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。