頭陀袋134 令和5年8月号

平城宮跡と奈良大文字の送り火
平城宮跡と奈良大文字の送り火

お盆のいわれ

お釈迦様の十大弟子の一人、目連尊者は六神通を得て、神通第一と言われておりました。
ある時、目連は亡くなった母親がどうしているかと、天眼通力を使って調べてみると、なんと餓鬼界に落ちて苦しんでいるのがわかりました。
何とか助けてあげたいが目連の力ではどうすることもできません。

目連尊者

お釈迦様。私の母は私にはなくてはならない人で私をかわいがってくれました。
それなのに、亡くなった後、このような仕打ちを受けるとはなにかの間違いではないでしょうか?

お釈迦様

目連よ。お前の母は、お前が可愛いばかりに知らず知らずの間に罪を犯してきたのだ。これを救うのは多くのお坊さんの力に頼るしかない。
雨安居最後の日、七月十五日に餓鬼道に落ちて苦しむ者のために多くの様々なお供え物をしてお坊さんによる盂蘭盆の法要を営みなさい。
現在の父母、過去七生の父母、兄弟、夫婦の六種の親属、地獄、餓鬼、畜生の三悪道の苦しみから出ることができ、時がくれば迷いから離れ、衣食に困ることはないだろう。もし両親が健在の人であれば、末永く幸せに暮らせるだろう。

すぐさまお釈迦様の教えの通りご供養をすると目連の母は苦しみの餓鬼界から救われました。

目連尊者

お釈迦様。先祖、父母の恩を忘れずに供養することの大切さがよくわかりました。もし後世のすべての仏弟子や、親孝行をする人も、またこの盂蘭盆を奉じて、
現在の父母、過去七生の父母までを救うべきでしょうか?

お釈迦様

目連よ、ここにいるみな達よ。七月十五日に親孝行な心で自分を生んでくれた父母、過去七生で生んでくれた父母のために、仏や僧侶に布施をすることによって、両親が長らく育ててくだされた愛情のご恩に報いなさい。

と説かれたのです。
こうしたことが仏説盂蘭盆経というお経にかかれています。
二千五百年前の昔の話が、今でも通用するのは人類普遍の教えであるからと言えるでしょう。
お盆の行事は七月十五日に行うところもありますが今は概ね八月となっており、都会に出た人や田舎が故郷である人たちは、国内大移動をしてお盆を迎えます。
各お寺ではお盆供養や説教師をお招きして法話を頂きます。
さて、お盆の間、ご先祖様は家に帰っておられるのだからお墓は留守でしょう。などと疑問が湧くかもしれません。
もちろんお墓はカラではありません。
ご先祖はどちらにもおいでになります。
お盆はご先祖様を大切にすると同時に久しぶりの親族再会、子供や孫たちの元気な姿を喜ぶのも最大の供養と言えるでしょう。

古田住職

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皆さん、こんにちは。住職の古田正彦といいます。 私は「お寺に行こう 和尚さんと友達になろう」をキャッチフレーズに進めています。 小さなきっかけでも仏様と結ばれることを喜びとしています。