食欲旺盛な恩林寺の小僧です。
この度は施餓鬼法要に御参詣下さりありがとうございました。
皆さんの想いはきっとご先祖様に届いたと思います。
これからも日々欠かさず手を合わせてほしいと私は思っています。
今回も「おけそく」を皆さんに配らせていただきました。
現在、恩林寺ではお餅を分けていますが、本来のおけそくをご存じでしょうか?
お華足
元々は「お華足」と書き、仏前に供えるお餅やお菓子等を盛る台座(皿)のことを指します。
それが変化し、いつのまにか供物全般をおけそくと呼ぶようになってしまいました。
昔は法要の準備に、近所の方々やお寺を支える方々が集まっていました。
お寺が地域のよりどころとなっていたのでしょう。
この時に供物の飾り付けも行っていたそうで、その一環としてお餅もついていたそうです。
しかし、お餅は早めに食べないと腐ってしまいます。
法要から次回の法要までは飾るので日持ちしなければなりません。
そこでお餅の代わりにお菓子を飾るようにした寺院が増加しました。
特に砂糖を使った落雁などは、かなり長持ちしているそうです。
本来は「花」のこと
お華足は、花の代わりに供えられたことがきっかけになっています。
仏教では香炉、燭台、花瓶の三つを合わせて「三具足」と言います。
(燭台と花瓶が二つずつあると五具足とも言います。)
供えるものとして大切なものは香・灯・花とされているほど、花は必需品とされています。
しかし、昔は季節によって花が収穫できなかったり、すぐ枯れてしまったり、捨ててしまう羽目になることから、お菓子やお餅に変化していったようです。
恩林寺でも観音さまの横に飾ってあります。
落雁が敷き詰められ、お花のような形をしているものがあります。
お花の色を表現するためカラフルな色がついた落雁を使用しています。
ぜひ、参詣頂く際にご覧いただきたいと思います。
宗派や地域によって違う?
今回は発祥の地である京都でのお話をしました。
実はこのお華足は地域や宗派によって異なります。
ある地域では「御華束」と書くところや、ある宗派では串刺ししたお菓子を供える所もあります。現在の高山では皆さんにお配りしたようなお餅を使用していますが、ある檀信徒さんのお話によると昔はもっと甘かったそうです。
私にこの話をしてくれた方は子供の頃、お華足が欲しいがためにお葬式や法要に参加していたそうです。
それほど美味しかったのだと思います。
(次のお葬式はいつなの?と聞いて親に怒られたそう…。)
昔の高山のお華足を、私も食べてみたいなあと思っています。
味を再現できる人はいませんか?(笑)
お願い…
今回お配りさせて頂いた「おけそく」は一度仏壇に飾っていただきたいです。
お施餓鬼法要で供養したお餅を飾ると、ご先祖様は一年間食べ物に困ることはないと言われています。
そして味が変わらぬうちにお召し上がりください。
小僧合掌
私は数少ないですがお餅をついた経験があります。
あれだけ大変なものを法要のたびに作っていたと思うとすごいと感心しています。またお餅屋や和菓子屋に行けば作ってもらえなかったものも、今ではインターネットで買える時代になってしまいました。
時代の変化はすごいですね。
これからの時代はお華足の存在すら知らない若者が増えていくと思います。
だからこそ、少しでも伝統を後世に伝えていける人になりたいと思っています。