【第二章 十二節】退堂

【第二章 十二節】退堂
【第二章 十二節】退堂

退堂

入堂してから一年が経過しました。
私は復学や就職活動のために退堂することとなります。
入堂した時と同様に、退堂するにも準備が必要となります。
中でも、師匠からの手紙を頂くことが重要となります。
何故かというと雲水が個人で退堂のお願いをすると…
意志が弱いだけだと思われてしまうからです。
その手紙を禅堂ぜんどう知客しか(僧堂師匠)に渡した時、こう言われました。
「あなたは僧堂を辞めるのではない。ただ一度帰院するだけだ。用事が終わったら、いつでも帰山しなさい(本山に戻っておいで)。」
そして難しい禅問答が出題されました。
なかなか答えられず、現在も苦戦しています。
この宿題はいつ終わるのでしょう。

引継ぎ

また、後輩への引継ぎも大変です。
お経に関することや、本山行事の飾りつけ、檀家さん宅の把握など、全てを指導します。
自身が教える立場となり、改めて教える難しさを感じます。
そしてこのやんちゃな小僧を教え導いた禅堂知客の有難みを感じました。
令和四年四月三日、脚絆きゃはんを付け、笠を被り、入堂時と同じ格好で僧堂の前に立ちました。
外での自由な生活に戻りたいと願っていたのに…こんな過酷な環境は嫌だと思っていたはずだったのに…。
先輩に怒られて同夏と励ましあい、泣いて笑って過ごしてきた生活ではなくなると思うと寂しく感じました。
知識や経験を頂いて、新たな修行のために僧堂を後にしました。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。