よわいものをいじめるな
人間関係とは難しいものです。おとなの教科書という本の一節にこんなことが書 いてありました。
よわいものをいじめるな
人として恥ずべき事やってはいけないことが数多くある中、卑怯な振る舞いを嫌ったのが薩摩武士である。今年は西郷どんがテレビで活躍しているが、薩摩には「郷中」(ごうちゅう)という教育組織があった。
町内ごとにある縦割りの若者組のようなもので、男子が六歳になるとここに通って武芸や学問にはげみ、武士としての心得を厳しく教えこまれた。いくつかある基本的な戒律の中でも、正々堂々とふるまうことを重んじた。いかにも薩摩らしい教えがこれだ。
「弱いものをいじめるな」
「いじめ」が卑怯な行為であることは誰もが知っている。それでも行われるのは単純明快なこの教えを小さいころからたたきこまれていないからではないのか。 理屈抜き、問答無用で守るべきこともあるはずだ。
冗談のつもりでも人の欠点を口にするな。
見た目から性格、頭の出来具合まですべて抜群に優れている人はいないだろう。 なにかの長所があればどこかに短所がある。
そして自分自身の悪いところは認識していないのに他人の悪いところは目につきやすいのが人間というものだ。そこで仲の良い人にはつい、冗談のつもりで「あんたのこんなところがだめなのね。」なんて口が滑ってしまう。そのなにげない一言が大げんかに繋がるかもしれない。こうしたことはぜったいに慎むべき。と、家訓で諭したのが北条重時である。
「戯れでもひとの欠点を口にしてはならない。自分ではふざけたつもりでも、 言われた本人は恥ずかしいため過ちが起こるだろう。冗談を言うのなら人がうれしくなることを言うべきだ。」
欠点を指摘されると、人は必ず傷つくから十分注意しよう。いつか仕返しをしてやろう。と思われるかもしれない。
(余談)
頭陀袋(恩林寺寺報)は次回七十号を迎えます。
当初、小さい寺の小さなつぶやき、と思ってスタートしました。 部数、二十五部、この六年近くの間に十倍の配布先となりました。ご支援感謝しております。
住職合掌