雲消山嶽露、日出海天清:禅の智慧が息づく言葉

雲消山嶽露、日出海天清
雲消山嶽露、日出海天清

雨によく降られる恩林寺の小僧です。

梅雨が明け、ゲリラ豪雨が頻発する今日この頃、暗い雨雲は私たちの心まで沈ませてしまいがち。
しかし、先日丹生川方面を運転中、雲の切れ間から差し込む太陽の光にハッとさせられました。
その幻想的な光景は、まさに心を洗われるようでした。
私に「日出海天晴」という禅語を思い出させました。

五灯会元続略とは?その歴史的背景を紐解く

まず、この言葉の出典である『五灯会元続略』について理解を深めましょう。
『五灯会元続略』は、中国の宋代に編纂された仏教書『五灯会元』の続編
この書物は、多数の禅僧の言行録を集大成したものです。
禅の思想や修行のあり方を学ぶ上で極めて重要な資料とされています。
したがって、禅宗の歴史や思想に興味がある方にとって、まさに必読の一冊と言えるでしょう。

雲消山嶽露、日出海天清の言葉が持つ意味とは?禅の境地と仏性の存在

さて、本題の「雲消山嶽露、日出海天清」という言葉について、さらに深く掘り下げていきます。
この一句は、中国・南宋時代の書物『五灯会元続略』に記されてします。
「師曰く、雲消え山嶽露わし、日出づり海天清し」と続きます。
直訳すれば「雲が消えれば山々は露わになり、日が昇れば海と空は清らかになる」となります。
しかしながら、この言葉は単なる自然描写に留まるものではありません。

この一節は、禅における悟りの境地を非常に示唆的に表しています。
それと同時に、私たちの心に宿る仏性の存在をも示唆していると私は考えます。

雲消山嶽露

ここでいう「雲」は、私たちの心を覆う煩悩や迷いを象徴しています。
日々の生活で感じる不安、執着、固定観念などが、まさにこの「雲」に当たると考えられます。
そして、その「雲」が消え去ることで、「山嶽」、すなわち本来の自分自身や真実の姿が明らかになる、ということを示唆しています。
つまり、迷いや心の曇りが晴れることで、物事の本質が鮮明に見えてくる。
そういう状態を表現しているのです。

日出海天清

「日」は、智慧の光や悟りを象徴しています。
この「日」、すなわち仏性の光が差し込むことで、「海と空」が澄み渡るように、心が清らかになり、全てが明確になる様を表しています。
煩悩が消え去り、真理を悟った心の状態を雄大に表現していると言えるでしょう。
言い換えれば、私たち一人ひとりが持っている仏様になれる可能性(仏性)。
それが、心の奥底から輝き出す様を示しているのです。

現代社会に生きる私たちへの示唆 心の曇りを払い、仏性を育む道

この「雲消山嶽露、日出海天清」という言葉。
これは、現代を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれます。
日々に追われ、時間がないと感じ、つい他人を羨んだり、本来あるべき心の平穏を見失いがちな私たちにとって、この禅語は重要な指針となるでしょう。

心の曇りを取り除く大切さ

現代社会は情報過多であり、私たちは常に様々な情報や感情に翻弄されがちです。
これにより、心が「雲」で覆われてしまい、本当に大切なものが見えにくくなることも。
この言葉は、意識的に心のノイズを取り除き、自己と向き合う時間を持つことの重要性を教えてくれます。
例えば、瞑想やマインドフルネスの実践は、この「雲」を取り除く手助けとなるでしょう。
なぜなら、心の中の「雲」が晴れることで、本来の自分、つまり仏性が姿を現すからです。

本質を見抜く力

表面的な情報や流行に流されず、物事の本質を見抜く力を養うことの重要性も示唆しています。
日々の喧騒から一歩引いて、冷静に状況を観察する。
そのことで、新たな発見や解決策が見えてくるかもしれません。
したがって、慌ただしい日常の中でも、立ち止まって考える時間を持つことが、心の「山嶽」を明らかにする第一歩となるでしょう。

希望と清々しさ

どんなに心が曇っていても、必ず「日」は昇ります。
そして、全てを清らかにするという希望を与えてくれます。
困難な状況に直面した時でも、やがて視界が開け、心が晴れやかになる時が来る…。
そういう前向きなメッセージも込められていると言えるでしょう。
さらに言えば、この「日」は、私たちの中に必ず存在する仏性であり、それを育む。
そのことで、どんな状況でも清々しい心でいられるという、深い示唆を与えてくれます。

仏性を育み、心の曇りを払うための実践

では、私たちの中に秘められた仏性という種子を、どのように育て、心の「雲」を払っていくことができるのでしょうか。
その方法は多岐にわたりますが、ここでは特に重要だと考える四つの実践をご紹介します。

善行を行う

まずは、「善行」を積極的に行いましょう。
悪いことばかりを重ねていては、心の仏様は育たず、羅刹のような存在になってしまいます。
例えば、道端のゴミを一つ拾う、小さな虫の命を大切にする。
こうしたささやかな行いの積み重ねこそが、仏性を育む土台となります。

感謝する

私たちは一人で生きているわけではありません。
周囲の人々の助けがあってこそ、社会が成り立ち、生かされています。
だからこそ、「感謝」の気持ちを忘れないことが大切です。
自分にはできないことを支えてくれた人々、日常を豊かにしてくれている全てのものに、心からの感謝を捧げましょう。

坐禅をする

心の奥底にある仏性を見つめ直す時間として、「坐禅」は非常に有効です。
静かに座り、自分自身の心と向き合う。

  • 果たして仏性はきちんと育っているだろうか?
  • 善行や感謝の気持ちを忘れていないか?

こう問いかけることができます。
立ち止まって内省することで得られる「気づき」は、次なる行動への大切な糧となります。

仏法を学ぶ

そして、「仏法を学ぶ」ことも欠かせません。
お寺に足を運んでお話を聞いたり、お経や仏教に関する書籍を読んだりする。
そのことで、仏様の教えに触れることができます。
これにより、自分自身の行いが正しい方向に向かっているかを確認し、さらに深く仏性を理解する助けとなるでしょう。

禅の言葉から学ぶ心の平静と希望

「雲消山嶽露、日出海天清」は、『五灯会元続略』の中に脈々と受け継がれる禅の智慧を凝縮した言葉です。
私たちの心が抱える迷いや煩悩という「雲」が消え去り、智慧の光、すなわち仏性が差し込むことで、本来の清らかな自己と世界が露わになるという、悟りの境地を雄大に表現しています。

この言葉を通して、現代社会で忙しく生きる私たちも、時折立ち止まって自身の心を見つめ直し、不必要な「雲」を取り除く努力をしてみてはいかがでしょうか。
そうすることで、日々の生活に清々しさと新たな発見がもたらされることでしょう。
心の曇りを払い、あなたの中に眠る仏性の光を輝かせてみませんか?

小僧さん

萬福寺におられる羅睺羅尊者さん。
お腹を開き、中の仏さまが顔を出している姿をしています。
まさに心の仏さまを形で表現しておられるのでしょう。

私も実際やってみると…煩悩や欲がドバドバ出てきそうです。
やはり仏さまには明るい所にいて欲しい!
だからこそ煩悩の雲を追い払う必要がありますね。

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。