一言の大切さ

挨拶
一言の大切さ

話すのが好きな恩林寺の小僧です。

日々の生活の中で、「言葉は難しい」と感じる瞬間は誰にでもあるものです。
伝えたいことがうまく伝わらなかったり、逆に余計な一言で相手を傷つけてしまったり。
言葉の選び方や、そもそも話すべきかどうかの判断に迷うことも少なくありません。
しかしながら、言葉は人と人との心をつなぐ架け橋でもあります。
だからこそ、仏教では言葉に関する教えが数多く存在し、私たちにその使い方を丁寧に説いてくれています。

挨拶の力:一挨一拶の本来の意味

ある晩、仕事帰りに近所で工事が行われていました。
疲れていた私は、働く方々の姿に心を動かされ、こう声をかけました。

小僧さん

夜遅くまでお疲れ様です。
こんな時間まで大変ですね。

現場の方

遅くまで迷惑かけてすみません!
ありがとうございます。

たった数秒の会話ですが、私たちの間に笑顔が産まれました。

挨拶は、元々「一挨一拶」という言葉が略されたもので、禅問答から由来しています。
挨も拶も「おす、せまる」という意味があり、お互いの心を推し量ることを指します。
禅宗では、師匠が質問し、弟子がそれに答える事で、お互いの仏法や智慧を深める行為が行われてきました。
私の僧堂でも朝は必ず禅問答を行います。
それがルーティーンとなり、今では挨拶として一般的に知れ渡るようになりました。

しかし、お互いの心を推し量るという行為は当時そのものだと私は思います。
たったの「おはよう」という言葉で、相手への気遣いやお互いの会話の第一歩目に繋がりますよね。

恩林寺の下でも近くの中学生らが元気に挨拶をしてくれます。
私も彼らも嬉しくなり、気分の良い朝を迎えることができるのです。

愛語施:言葉による布施の実践

挨拶だけでなく、日常の言葉にも仏教的な意味があります。
たとえば、敬語や気遣いの言葉。
「重いものを持ちましょうか?」という一言が、相手の心を軽くすることもあります。

仏教では、財産がなくてもできる「無財の七施」の一つに「愛語施」があります。
これは、優しい言葉や敬語を通じて、他者に思いやりを施す行為です。

優しい言葉は、周囲に笑顔をもたらします。
困っている人に声をかけるだけでも、その人の心を落ち着かせることができるのです。
つまり、言葉は布施にもなり、慈悲の実践にもなるのです。

口戒:言葉に関する戒めの数々

一方で、言葉には注意すべき側面もあります。
仏教の「十善戒」のうち、実に半分が「口に関する戒め」であることからも、言葉の扱いがいかに重要かが分かります。

不妄語戒:嘘をつかない

そもそも嘘をついてはいけません。
嘘も方便という言葉もありますが、あくまで方便。
嘘は人を信用を裏切る行為です。
最近よく詐欺のニュースを見ますが、嘘を付くと困る人がたくさん出てきてしまいます。
いつでも正直にいるのが一番だと思います。

不綺語戒:飾り立てない

人の為にならない飾り立てはいりません。
自分が気に入られるように、人を過剰に褒めたり、他人を貶したり。
そのような行為は誰も求めていません。
むしろ自分の評価がマイナスになる事もあります。

また余計な一言で相手を傷つける場合もあります。
その一言は本当に必要なのかどうか、判断が必要だと思います。
余計なおしゃべりはせず、時と場合を考え、適切な言葉を選ぶようにしましょう。

不悪口戒:悪口を言わない

人の陰口や悪口を言ってはいけません。
言いたい事は直接本人に話した方がいいのでは?と私は思っています。
その方がお互いの成長に繋がるような気がしています。

悪口は当然、陰口もいつかはバレます。
それを当人が知った時、かなり傷つくと思います。
悪口は盛り上がりやすいという話も聞いたことがありますが、もし誰かが話していたら止めてあげる事も思いやりだと思います。

不両舌戒:二枚舌を使わない

二枚舌を使ってはいけません。
それは相手同士を争わせることに繋がります。
また、二枚舌だったことが分かれば、使った本人にも争いが降りかかります。
誰も得しない行為になってしまいます。

伝え方や言い方はあるにしても、お互いに真実を話す事を心がけましょう。
相手が勘違いしていたら訂正し、納得するような方法を見つけると良いかもしれません。

口に関する戒めが最も多いとされています。
それくらい、人の口は簡単に動いてしまうのです。
だからこそ、言葉には気をつけていかねばなりませんよね。

言葉は仏法の実践そのもの

言葉は、私たちの心を映す鏡です。
だからこそ、仏教では言葉の使い方に細やかな戒めが設けられています。
挨拶に始まり、愛語施としての優しい言葉、そして口戒による慎み。
これらはすべて、仏法の実践であり、日常の中でできる修行です。
「おはよう」「ありがとう」「お疲れ様です」
その一言が、誰かの一日を明るく照らすかもしれません。
言葉の力を信じ、丁寧に使っていきたいものですね。

小僧さん

「たった一言で相手を傷つけることも救うこともできる」

幼い頃、私はこう教わりました。
言葉はナイフにも人を包む布にもなるのてす。

学生の頃は元気に挨拶していたものの、大人になるにつれて義務的なものになってしまっていませんか?
まずは朝の挨拶を第一歩目として、良い言葉、良い声掛けを心がけていきましょう。

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。