翌年には再び用庵和尚と西湖へ行脚に出かけられ、そこで若庵和尚に、また竜門で三宜和尚に、また保寿で石雨和尚に、と次々に相見(会う)されて禅問答を 交わされました。
たまたま費隠老和尚が金粟山に来ておられると聞かれ、馳けつけられました。
老和尚はある日のこと、その頃副寺(寺の会計)の役につかれていた禅師に、
と尋ねられました。禅師が、

持ってはまいりませんでしたが、いつでもお役にたてましょう。
と答えられますと、老和尚は、

ではさっそくここに出してもらおうか?
禅師はサッと拳を立てられました。
老和尚はすかさず、

ではさっそれはなんのまねだ?
すると禅師は、

この生薑の一ひら一ひらは皆なぴりっと辛いですよ
と答えられました。
お前、生薑を持参して来たか?