頭陀袋049 平成28年7月号

財宝を迎える人(外見、お金、人間関係)

昔、インドのある村に{ショウキャバッタ}という名の商人がいた。

富豪の家の子であったが、家は次第に衰退して、貧乏の極みまで落ちてしまい、親戚、知り合いも、誰も皆、彼を軽蔑して相手にしようとはしなかった。そこでショウキャは(こんなにさげすまれるぐらいなら、いっそ、家を出てしまおう。)と、思い、同伴のものと一緒に故郷を捨てて大秦国に行った。

そして長い年月をかけておおいに財宝を得ることができ、文字通り故郷に錦を飾ることができた。

すると、これを伝え聞いた親戚縁者はそれぞれ御馳走を用意し、花を飾り、音楽を鳴らして、ショウキャの凱旋を出迎えた。ショウキャはそれを知り、わざと貧乏そうな身なりをして、行列の前のほうを歩いた。もう、彼の顔を覚えている人もなく、誰がショウキャなのかさっぱりわかりません。

誰かがショウキャを捕まえて「ショウキャさんはどこですか?」と聞くので、彼は、「もっと後ろのほうですよ。」と、とぼけて答えた。そこで皆が後ろのほうに行き「ショウキャさんはどこですか?」と、尋ねる と、「ショウキャさんなら行列の前をあるいている人ですよ」 「なんだ。さっき聞いた人がショウキャさんじゃないか」とわかり彼のところに向かって文句をいった。「あなたは先ほど、どうして後ろから来る人がショウキャさんだといったのですか?人をからかうのもいい加減にしてください。」すると彼は親族一同に向かって「からかってはいけません。あなたたちのさがしているショウキャは、私ではなく、後ろにいる、あのラクダの上の財宝を迎えに来たのに違いないから、ショウキャは後ろにいるといったのです。」

それを聞いて、皆は恥ずかしそうにすごすごとその場をはなれていった。

何びとも金持ちは友達である。金さえあれば神様さえ君を愛するであろう。しかし、万一貧しければ肉親でも君を憎むであろう。心のうらおもてみたいな話ですね。人間ってあさましい。

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古田住職
皆さん、こんにちは。住職の古田正彦といいます。 私は「お寺に行こう 和尚さんと友達になろう」をキャッチフレーズに進めています。 小さなきっかけでも仏様と結ばれることを喜びとしています。