エアコンで涼みたい恩林寺の小僧です。
ここまで暑くなると、ついだらけてしまいますね。
恩林寺にもエアコンが欲しいのですが、本堂が広いため付けられません。
設置しても中を冷やすには時間がかかりそうです。
こんな暑い時は、エアコンよりも怖い話の方が空気が冷えそうですね。
ということで、日本霊異記より怖〜い話シリーズ第二弾です!
瓜売りの商人
河内国のとある所に、瓜を売って歩く商人がいました。
その男の名は石別と言い、馬に沢山の瓜を積んで売り歩いていました。
その積載量は馬の蹄が土にめり込むほど…。
そのうえ、重くて歩けない馬や遅い馬には容赦なく鞭を打ち込むのです。
馬はあまりの痛さに飛び退き、その度に瓜が地に落ちてしまいます。
石別は更に腹を立ち、再び馬の腹を蹴り上げます。
このようにして今まで何頭もの馬が、酷使に耐えかねて命を落としてきました。
石別は、馬の亡骸を葬ることはありませんでした。
一匹の馬と老僧
しかし、ある一匹の牝馬は長生きをしていました。
鞭で打たれつつも瓜を運び、馬なりの役割を務めてきました。
しかし7年ほどたつと老衰していきます。
石別は腹が立ち、遅いと言いながら鞭を打ち続けました。
すると眉毛が白い老僧が一人現れ、石別にこう言います。
しかし、石別は笑って、更に鞭を打ち込みます。
あの母親のせいで今の私は嫌な目に合っているんだ。
俺のためにお金を稼がなかったから、俺が大変なことになっているんだよ。
そうかい、この馬は母親か…さらに虐めなければならないな。
老僧はその後も止めようとしましたが、石別は説得に応じませんでした。
老僧は仕方なく、来た道に戻っていきました。
深い森
月日は経ち、石別はいつもの商売に出かけました。
母親と言われていた馬は亡くなり、新しい馬に鞭を打ちながら歩いていました。
すると、いつの間にか深い森の中にいました。
試行錯誤しましたが、一向に抜けられる気配がしません。
腹が立ち、相棒の馬に鞭を打ちました。
その瞬間、大量の足音が聞こえてきました。
誰かが助けにやってきてくれたと思った石別。
彼は大声をあげましたが、足音の正体を見ると固まってしまいました。
その正体は、馬の大群だったのです。
こちらにやってくると、瓜を食べ散らかしたり、蹄で彼を蹴ったり。
石別は助けを求めますが、ここは森の中です。
とある一頭の牝馬が石別の頭に噛みつきました。
その時、石別は見たことある馬ばかり居ることに気づきました。
しかし、意識は薄れていくのでした。
その日を境に、ある街では石別を見かけなくなったそうです。
その後…
馬の大群がやってくるシーンでは、こう書かれています。
「先導に居るのは瞼の上のみ白く毛の生えた黒鹿毛の馬である。」
これは、石別に母親だと指摘した老僧の容姿に似ています。
言っても聞く耳を持たぬならば、分からせてやろうとしたのではないでしょうか。
因果応報
この石別の話、まさに因果応報だと思います。
誰かを虐めれば我に返ってくる。
当たり前の話なのですが、これに気づかず過ごしていることはありませんか?
誰かの悪口を言えば、自分もどこかで言われているかもしれません。
自分勝手な行動をすれば、相手も勝手な行動をするかもしれません。
しかし、一部分を切り取って、「あの人は悪人だ」と決めつけてしまうのです。
まずは、自分が普段から悪いことをしていないか、相手を傷つけていないか。
一度そこから振り返ってみてはいかがでしょうか。
もちろん、善因善果・悪因悪果です。
良い心がけも、また自分に返ってくるのです。
日々精進していきたいものですね。
このお話、石別を見かけなくなったと書かれているだけです。
なので実際は生きているのかもしれません。
もしかしたら、頭の無い石別が貴方の近くにいるかもしれませんよ?
振り向いたら、すぐそこに…😱😱😱😱😭
小僧合掌
貴方は不孝者だ。
その馬は死んだ貴方の母親である。
それに鞭を打つとは何事か❗❗❗