暑くてとろけそうな恩林寺の小僧です。
夏がやってきました。
最近は日差しが強く、熱中症のニュースが飛び込んできます。
こんな暑い日は、怖い話を聞くのが定番ですよね!
ということで、夏にピッタリの怖い話をしたいと思います。
ぜひ最後までご覧頂ければと思います。
若い修行僧
とある1人の僧侶が、「このお寺で修行したい」と訪ねてきました。
その僧侶の持ち物は、法華経と水瓶、縄で編んだ椅子だけ。
そのお寺のトップだった永興禅師という方は、この若い僧侶の修行をお認めになりました。
毎日熱心に修行して1年が過ぎました。
その若い修行僧は
と言い出しました。
永興禅師は心配になり、食料などを与え、国境まで侍者(荷物などを持つ人)をつけました。
しかし国境が近づくと、若い修行僧は、侍者に自分の持ち物をほとんど与え、山の中へ入っていってしまいました。
それからというもの、この僧を見る人はいませんでした。
二年後の話
ある船造りの職人が、山の上流で作業をしていると、法華経を読む声が聞こえてきました。
職人は、「こんな山奥でお経が聞こえるのは幻じゃ」と思い込み、聞こえていないフリをしていました。
しかし、その声は止むことがありません。
恐怖を感じた職人は、近所で有名な永興禅師を訪ねます。
![](https://onrinji.com/wp-content/uploads/2023/07/職人icon.jpg)
永興禅師さま、山奥でお経が聞こえてきます。
果たしてこれは幻聴でしょうか?
それとも誰か居られるのでしょうか?
永興禅師は、そのお経が聞こえる方角へ出掛けることにしました。
近づく度に声が大きくなっていきます。
そして、たどり着いた場所には、人の死体と見た事のある袈裟がありました。
あの若い僧が亡くなられていたのです。
永興禅師は、もうじき修行を終え、声も聞こえなくなるだろうと思い、その場を後にしました。
三年後の話
近くの村の狩人が永興禅師を訪ねてきました。
「山奥でお経が聞こえる」という内容です。
永興禅師は、修行僧が亡くなっていた場所へ向かいました。
死体は消え、そこはもう白骨化していました。
しかし、その中に一つだけ動くものが…。
恐る恐る見てみると、「舌」だけが動いており、ひたすら、法華経を唱えていたそうです。
永興禅師は舌を骨と一緒に埋葬し、手を合わせました。
すると、声は聞こえなくなりました。
それ以降、その山ではお経が聞こえることはなくなったそうです。
一心不乱の僧侶
これは、「日本霊異記」という話の一節です。
平安時代、薬師寺の僧たちによって造られたと言われています。
このお話は、まさに修行の大切さを教えてくれているような気がします。
きっと若い修行僧は、ひたすら法華経を唱え続けると決めたのでしょうか?
一心不乱なゆえ、死んだことにも気付かず修行をしていたのではないでしょうか?
私はこのように感じました。
平安時代といえば、阿弥陀信仰が流行した時代で、阿弥陀さまに頼る他力本願が主流でした。
しかし、その中でも修行を続けているお坊さんは稀有な存在だったと思います。
私も集中して何でも取り組めるような僧侶になりたいと思っています。
![](https://onrinji.com/wp-content/uploads/2022/07/cropped-小僧アイコン.jpg)
この話は、最後にこう終わっています。
このお経の声が止んだのは何故か。
舌が地中に埋まり、今でも動いてはいるが聞こえにくくなったからか。
その僧の修行が終わったからか…そこは未だ不明である。
僕が骸となった時は、墓の中からお経が聞こえてくるかもしれませんよ😱
みなさんは、どう思いますか?
小僧合掌
私は伊勢の国を超えて、山に籠る修行をしたい