十句観音経

皆さんとのお話が大好きな恩林寺の小僧です。

日中はまだまだ暑く残暑が厳しいですが、周囲を見れば秋の気配。
小さな秋を感じながら散歩していたときに出会った方との話です。

うまく話せない…

いつもの様に変わらない挨拶を済ませたのですが、今ひとつ元気がない様子の女性。
何かお悩みなのかと思い、少し聞いてみました。

小僧さん

あまり元気がないご様子ですが、どうされました?
私で良ければお話、お聞きしますよ😊

近所の女性

それがねぇ、最近はうまく話せなくてね。
父ちゃん(旦那さん)がいた時は会話もしてたけど、一人だとね。
若い小僧さんには、わからない話でごめんね。

ご主人を亡くされて、子供も独立し家でお一人で過ごされているようです。
テレビなどを見て聞くことはあっても話すことがないとのこと。

様々な要因

老人が上手に話せなくなる原因は、様々な要因が複合的に絡み合っているそうです。

脳の老化で言葉の記憶や発音が難しくなる場合や舌の動きが悪くなるなどの口腔内の変化。
他にも呼吸器や神経の疾患で話せないなどの身体的な原因もあるようです。
他にも心の病や周囲とのコミュニケーションが減り、話す機会が少なくなる孤独感。
そんな心理的な原因もあるようです。

小僧の提案

その話を聞いて、私はお経を唱えてみてはどうかと提案してみました。
しかし、あんな長いお経は読めないよとの返答が…😅
老眼だから、あんな字の小さいものは無理だよねって😲
短いお経かぁ…と考えて閃いたのが十句観音経でした。

十句観音経

十句観音経はたった42文字の短いお経。
きっと一番短いお経だったと思います。
延命の2字を付け加えて臨済宗中興の祖といわれる白隠禅師が広めたとされます。

観世音かんぜおん 南無仏なむぶつ 
与仏有因よぶつういん 与仏有縁よぶつうえん 
仏法僧縁ぶっぽうそうえん 常楽我浄じょうらくがじょう
朝念観世音ちょうねんかんぜおん 暮念観世音ぼねんかんぜおん 
念念従心起ねんねんじゅうしんき 念念不離心ねんねんふりしん

『延命十句観音経』

私は観音様を信じ仏になれる因と縁をいただいております。
常・楽・我・浄の観音様の四徳が私の身につく様に朝な夕なに観世音を念じます。
この一念は私の心からではなく、私の心中に秘められている仏の心願です。
簡易で申し訳ありませんが現代の言葉にするとこんな感じだろうと思います。

常楽我浄の四徳

無常の世の中での不安のなくなる平常心
苦の世の中で苦が苦痛でなくなる
さまざまな縁に助けられ支えられる忘己利他
浄・不浄だと分け隔てない平等の智慧と慈悲
小僧さん

お経は長いものという先入観から敬遠されていらした様です。
しかし、コレなら毎日読めそうだと喜んでおられました。
父ちゃん(旦那さん)の良い供養になりそうだと嬉しそうに話されていました。
その姿こそ、観音様そのものだなぁと感じました。

小僧合掌🙏