煤払いについて

煤払い(お身拭い)
煤払い(お身拭い)

大掃除が苦手な恩林寺の小僧です。

皆さんは年末の大掃除は終わりましたか?
恩林寺では30日に行なう予定にしており、一年の感謝を込めて一つ一つ綺麗にしていきたいです。
そんな大掃除ですが、昔は「煤払い」と呼ばれていました。
今でも神社やお寺でよく聞きますが、煤払いは何をする行事だったのでしょうか?

煤払いの発祥

煤払いは時代を遡り、平安時代からあるそうです。
宮廷で行われた行事であることから、京都や奈良周辺が発祥になりますね。
元々は神事(神道の行事)だったそうです。
一年の汚れを落として年始に歳神様を迎えるために行われたと言われています。
また厄祓いの意味もあるそうで、悪いものは祓う(払う)ということで煤払いが産まれたとも言われています。
平安時代の書物「延喜式」という本には「煤掃き」と書かれ、方法まで詳しく書いてあります。
宮廷には掃部寮という掃除専門の役職がありました。
掃除は神事として扱われていた為、皆さんがよく使うホウキも神器として使われた事もあるみたいですよ。

いつ行う?

古くから、12月13日は「煤納めの日」と呼ばれ、江戸城の大掃除が行われていました。
それが一般にも広まり、年末の大掃除の日と定着しました。
萬福寺でも12月13日に行われています。
現代では、ライフスタイルの変化により、必ずしも12月13日に煤払いをする必要はありません。
年末の忙しい時期を避けて、余裕のあるときに掃除をする人も多いです。
鬼宿きしゅく日という縁起の良い日に煤払いを行うところもあります。
字の通り、「鬼が宿にこもる日」という意味で、鬼の害がないためとされています。

煤払いが寺院へ

鎌倉時代になると仏教が盛んになります。
曹洞宗や臨済宗、浄土宗や浄土真宗など、各宗派が生まれます。
当然、寺院の数も増えるわけです。
物を大切にする日本では、煤払いが寺院にも広まりました。
やがて神事という概念から、大掃除の意味に変わっていくのです。

煤払いとお身拭いの違い

煤払いは家屋全体を対象にしています。
特に、天井や壁、神棚など、普段手の届きにくい場所の清掃を行います。
それに対して、お身拭いは主に仏像や神像など、宗教的な対象物を指して行われています。
埃や汚れを落とし、清めることで、神仏に対する敬意を表すると言われています。

煤を払う理由

現代は電気やガスがあり、かなり便利ですよね。
私もファンヒーターに引っ付いて剥がれられません。
しかし、昔は火がメインでした。
囲炉裏や竈で薪を使うと、天井が煤けます。
それを放置すると煤が付いた埃が頭上に落ちてくるようになります。
だから背の高いホウキなどで擦り取っていたそうです。
私の親戚の家では、囲炉裏の部屋があり、真っ黒な大黒柱がありました。
これは長年の煙が燻した結果だと親戚の方が教えて下さいました。
煤が付いた柱は独特の良さがありますよね。

煤払いで有名な寺院

毎年恒例で行っている萬福寺…と言いたいところですが、有名な寺院は他にあります。
毎年12月20日に行われる東本願寺、西本願寺の煤払いには多くの人が集まります。
早朝から夕方まで、大きな寺院全体を竹の棒や巨大な団扇で煤や塵を落としていきます。
横一列になり一斉に行なう姿は圧巻です。
約500年以上前、蓮如様が居られた時代から続いているそうで、ぜひ私も参加してみたいと思っています。

※参加するには毎年募集がありますので、そちらから申請ください。

小僧さん

建物の煤はもちろん、身から出る煤も払いたいものです。
体も心も綺麗にして新年を迎えたいです。
大掃除は苦手だからこそ、普段の「作務」を大切にしていきたいと思っています。ぜひ、普段より綺麗になった恩林寺で、年越しをお過ごしくださいませ!

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。