九品往生

昔から計算が苦手な恩林寺の小僧です。

私は小学校の頃、九九を覚えるのに苦しんだ覚えがあります。
九九というより「苦苦」…汗。
また今日は9/9!世間ではロールケーキの日なんだそう。
ダジャレが好きな私は、九九の日だと勝手に思っていました。
今日は9に関する仏教語についてお話ししたいと思っています。

極楽浄土という考え

よく温泉に浸かっていると「極楽~極楽~」という声が聞こえてきます。
極楽浄土というのは仏教の宗派の中でも浄土真宗、浄土宗の教えにあります。
善い行いをした人も、悪いことをしてしまった人も、「南無阿弥陀仏」と唱えると極楽浄土に往生(生まれ変わること)できると言われているのです。
極楽浄土は阿弥陀如来様が作った世界のことを言います。
世間ではお葬式などで「大往生」という言葉を使いますが、亡くなったことを指すのではなく、立派に極楽で生まれ変わることが出来たことを意味しているのです。
極楽浄土には金色に光る地面に宝石が散りばめられた池があります。
エアコンいらずの気温に、適度な食事。まさに夢のような世界!
そこへ私たちは生まれ変わることが出来るというのです。

九品往生

浄土宗、浄土真宗の教えの中に「九品往生」という教えがあります。
誰もが「南無阿弥陀仏」と唱えると極楽浄土に行けるというお話ですが、善人と悪人が同じ扱いをされてしまったら、この世は大変なことになってしまいます。
「悪いことをしても唱えれば浄土に行ける」
このような考えが広まってしまったら、悪さだらけの世界になってしまいます。

そこで生前の行いによって往生するパターンを九種類に分けました。
上中下の三品、上中下の三生を掛け合わせたものになります。

上品

上品は周囲の人も含めて善行を努めた人、大乗を修める人を指します。

上品上生じょうぼんじょうしょう

阿弥陀仏と観音・勢至および浄土の大衆の来迎を受け、金剛台に乗って浄土に往生し、すぐに佛や菩薩の姿を排し、無生法忍むしょうほうにんを得て未来成仏を受けます。

上品上生

上品中生じょうぼんちゅうしょう

阿弥陀仏と観音・勢至および無数の眷属の来迎を受け紫金台に坐して往生されます。
一小劫を経て無生法忍むしょうほうにんを悟ります。
※小劫とは人間の寿命が八万歳から一〇〇年ごとに一歳ずつ減っていき、一〇歳になるまでの間。

上品中生

上品下生じょうぼんげっょう

阿弥陀仏と観音・勢至および浄土の眷属の来迎を受け金蓮台に乗って往生します。
三小劫を経て菩薩の初地に入ります。

上品下生
無生法忍

仏教用語で、一切のものは不生不滅であることを認めることを意味します。

中品

中品は自身で善い行いをした人、小乗を修めたり一般的な善を行う人を指します。

中品上生ちゅうぼんじょうしょう

阿弥陀仏が眷属とともに来迎され、仏の教えをきいて、蓮華台に乗って往生されます。
すぐ蓮華が開き、四諦の教えを聞いて、阿羅漢の位に入って、八解脱の知恵を得るとされています。

中品上生

中品中生ちゅうぼんちゅうしょう

阿弥陀仏と眷属の来迎を受け七宝蓮花に包まれて往生されます。
七日を経て須陀洹果しゅだおんかを得て半劫の後、阿羅漢を得ます。

中品中生

中品下生ちゅうぼんげしょう

善知識(正しく浄土に導く人)より極楽や阿弥陀仏の四十八願などのことを聞いて命終します。
すぐ浄土に往生し、観音・勢至の両菩薩より教えを聞いて、一小劫を経て阿羅漢の位に入ります。 

中品下生
須陀洹果

仏教用語で、修行によって得られる悟りの位である四果しかの第一位を指します。

阿羅漢

仏教用語で、尊敬・施しを受けるに値する聖者を意味します。
サンスクリット語のアルハンの音写語。

下品

善業をせず悪をなした人、身勝手な人を指します。

下品上生げぼんじょうしょう

臨終に善知識より、大乗経典の名字を讃ずるのを聞き、また合掌して南無阿弥陀仏と称える事ができた人。
五十億劫の罪が消えて、観音・勢至の来迎をうけて宝蓮華に乗じて往生されます。
七七日を経て華が開き 、観音・勢至の両菩薩より教えを聞いて、 十小劫を経て初地の位に入ります。

下品上生

下品中生げぼんちゅうしょう

物を盗んだり、名聞のための説法をしたりして、臨終には地獄の猛火にせめられる人。
善知識から阿弥陀仏の威神力を聞いて命終すると、八十億劫の罪を滅し、仏・菩薩の来迎をうけて往生されます。
そして六劫の間を経て蓮華が開き、観音・勢至より教えをうけて菩提心をおこすといわれています。

下品中生

下品下生げぼんげしょう

地獄に堕するような悪業を重ねたものであるが、幸いにも教えをうけ、南無阿弥陀仏ととなえて十念を具足した人。
それによって八十億劫の生死の罪が消えて金蓮華を見て往生されます。
そして十二大劫を経て蓮華が開き、観音・勢至より教えを聞いて菩提心をおこします。

下品下生
小僧さん

こう見ると上品上生と下品下生の差は大きいですよね。
極楽浄土に生まれ変わっても仏様になるまでの修行をしなければなりません。
悪いことばかりしていると、余計に大変なことが多くなってしまうのです。

上品と下品

よく他人のことを「お上品」「下品な人」などと言うことはありませんか。
実は、この九品往生から由来しているそうです。
汚いことや礼儀正しくないと言われてしまうこの言葉…。
せめて上品か中品になれるよう、頑張りたいものですね。

小僧さん

浄土宗の教えには「九品の弥陀」という言葉があります。
先ほどの往生も違えば、行く先の浄土も違う場所にあるという意味です。
悪いことをすれば、地獄に近い場所に行くことになります。
私達人間はどうしても過ちを犯してしまうもの…。
しっかり反省し、積極的に善い行いをし続けていきたいものですね。

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。