五感の秋 in 飛騨高山

飛騨高山で「五感の秋」
飛騨高山で「五感の秋」

飛騨高山でいろんな秋を見つけた恩林寺の小僧です。

さて、暑かった夏が過ぎ、ここ飛騨高山には、誰もが心待ちにしていた秋。
静かに、しかし確実に訪れています。
朝晩の空気はめっきり涼しくなり、その澄んだ空間には、どこからともなく虫の声が響きます。

色の秋

恩林寺の彼岸花は、他の名所のように境内に咲き誇る大群生ではありません。

しかしながら、だからこそ、その風景には独特の趣があります。
古木の根元や、石段の脇など、控えめな場所にひっそりと。
しかし確かな情熱を秘めたように、一輪、また一輪と赤い花を咲かせています。

つまり、派手さはないけれど、古刹の静けさの中でポツリポツリと咲く彼岸花
それは、訪れる人々に静かに秋の訪れを告げてくれるのです。
もちろん、飛騨地方唯一の黄檗宗寺院としての歴史とあわせ、じっくりと心を落ち着けて鑑賞したい、そんな「慎ましい秋の赤」がここにあります。

実りの秋

恩林寺から一歩外に出れば、高山の郊外に広がるのは、収穫を終えたばかりの田圃です。
そして、最近になって多く見かけるようになったのが、秋の風物詩、稲架掛はさがけの風景です。

なぜなら、稲を棒や竹で作った棚に逆さにしてかけ、天日干しを行うこの伝統的な手法。
それこそが、飛騨高山の美味しいお米を育む秘訣の一つだからです。
ゆっくりと自然の力を借りて乾燥させることで、お米本来の旨味と甘みが引き出されます。

したがって、この黄金色に色づいた田んぼの中に、まるでオブジェのように整然と並ぶ稲架掛けは、日本の原風景そのもの。
その結果、高山の豊かな大地と人々の知恵を感じさせてくれる。
そんなノスタルジックな秋のシンボルとなっています。

空気の秋

飛騨高山は、標高が高く盆地特有の気候のため、夏と冬の寒暖差が大きいのが特徴です。
その上、秋の深まりも早く、日中はまだ日差しがあっても、朝晩はめっきり涼しくなりました。

しかし、この寒暖差こそが、高山の四季を鮮やかに彩る秘訣です。
朝霧が立ち込める早朝の冷たい空気、日中に深呼吸したときの澄み切った空気。
そして夕方のひんやりとした風。
つまり、肌で感じるこの涼しさこそが、飛騨高山があなたに贈る、心地よい秋の体感なのです。

音の秋

そして、空気が冷たく澄み渡る夜。
街灯の届かない田園や山間部では、至る所で虫の声が響いています。
コオロギ、スズムシ、キリギリス…。

この虫たちの合唱は、静かな高山の夜に奥行きと彩りを与えてくれます。
澄んだ冷たい空気を震わせながら、まるでオーケストラのように響き渡る虫の声に耳を澄ませてみてください。
ちなみに、この自然の音色こそが、慌ただしい日常を忘れさせてくれる。
そんな最高のヒーリングミュージックです。

味覚の秋

さらに言えば、飛騨高山の秋は、目で見て、耳で聞いて楽しむだけでなく、舌でも楽しむべき季節です。

  • 栗やきのこ:栗をふんだんに使った栗よせや、香り高い天然きのこ料理など、山の恵みが店頭や食事処に並びます。
  • 新米:稲架掛けの風景が示すとおり、この時期に味わう新米は、瑞々しく、甘みがあり、それだけでご馳走です。

祭りの秋

飛騨高山の秋の風物詩といえば…。
なんといっても毎年10月9日と10日に開催される「秋の高山祭(八幡祭)」です。
氏神様である櫻山八幡宮の例大祭であり、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

絢爛豪華な屋台と匠の技

祭りの主役は、11台豪華絢爛な屋台(山車)です。
飛騨の匠の技が結集した彫刻、漆塗、錺金具に彩られた屋台は、まさに芸術品。

日中は、町中を勇壮に練り歩く「屋台曳き廻し」。
さらに、巧みな綱さばきで人形が生きているかのように動く「からくり奉納」が見どころです。

幻想的な「宵祭」

9日の夕方から始まる「宵祭」では、それぞれの屋台に約100個もの提灯が灯されます。
暗闇の中、提灯の暖かく揺れる光に浮かび上がる屋台の姿は、昼間の華やかさとは異なり、静寂の中に美しさが際立つ、非常に幻想的な光景です。

小僧さん

このように、飛騨高山は、恩林寺の慎ましき彼岸花から始まる「色の秋」。
稲架掛けに見る「実りの秋」、虫の声に耳を澄ませる「音の秋」。
そして旬の味覚に舌鼓を打つ「味覚の秋」。
いろいろな秋が交錯する、魅力あふれる場所なのです。

この素晴らしい季節の移ろいを、ぜひ飛騨高山で心ゆくまで堪能してください。
最後に、この時期の飛騨高山は冷え込むこともありますので、一枚羽織るものをお忘れなく。
最高の秋の思い出を作ってくださいね!

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。