前後際断

前後際断
前後際断

剃髪すると剃り残しが出てくる恩林寺の小僧です。

今度こそはと思いながら剃髪するのですが、なぜか残ってしまいます。
一度できれいに剃れない&次回の剃髪時も不安だなぁといった気持ちがあります。
過去の出来事や未来への不安にとらわれず、ただ今の瞬間に意識を集中する。
これを仏教の言葉で「前後際断ぜんごさいだん」といいます。

不安

前後際断

過去と未来の思慮分別を断ち切り、現在の瞬間に集中することを意味します。
一般的な禅宗では、この状態を悟りの境地に至るための重要な要素としています。
この言葉は、過去の出来事や未来への不安にとらわれず、ただ今の瞬間に意識を集中することで、心の平穏を得ることを説いています。
坐禅などを通じて、過去や未来への執着を捨て、現在の呼吸や身体の感覚に意識を向ける。
それによって雑念を払い、心の静けさを得ることができるとされています。

過去の出来事にとらわれない

過去の失敗や後悔を何度も思い出してしまう場合は、その感情をいったん受け止め、「過去は過去」と割り切るように意識しましょう。
日記などに気持ちを書き出すことで、感情を整理し、過去との距離を置く方法もありますね。
過去の経験から得られた教訓を活かし、未来に目を向けるようにしましょう。

未来への不安を手放す

将来への不安や心配が頭から離れない場合は、具体的な解決策を考えるよりも、まずは「今できること」に集中しましょう。
坐禅や深呼吸などを行い、心を落ち着かせる時間を作るのも良いのでは。
不安な気持ちを信頼できる人に話すことで、気持ちが楽になることもありますよね。

今この瞬間に集中する

食事をする際は、テレビやスマートフォンから離れ、食べ物の味や香りなどをじっくりと味わいましょう。
散歩をする際は、周りの景色や空気、足の裏の感覚などに意識を向けてみましょう。
仕事や勉強をする際は、一つの作業に集中し、マルチタスクを避けるようにしましょう。
今この瞬間に意識を集中する習慣を身につけることが大切だと思います。

注意してほしいこと

前後際断とは、過去や未来を完全に否定するものではありません。
過去の経験から学び、未来への目標を持つことも大切です。
大切なのは、過去や未来にとらわれすぎず、今この瞬間を大切にすることです。
完璧を目指す必要はありませんから。

よく似た言葉

前後際断の類義語として、よく聞かれる言葉に明鏡止水めいきょうしすいがあります。
どちらも禅の教えに由来する言葉ですが、それぞれ異なる側面を表しています。

前後際断は、心の動きを断ち切る行動に重点を置いています。
それに対し、明鏡止水は心の状態に重点を置きます。
前後際断は、能動的に雑念を排除するのに対し、明鏡止水は、結果として心が静かで澄み切った状態を表します。
また前後際断は、時間の概念を断つのに対して明鏡止水は、心の状態の安定を保つことを意味しています。
このことから、「前後際断」は「明鏡止水」という心の状態に至るための手段であると言えるのではないでしょうか?

小僧さん

過去の失敗は、どうにもなりませんよね。
また未来への不安も同様です。
それは私達が「今」しか生きられないからです。
普段から「今」の一瞬に集中し、雑念を排除することを心がけたいですね。
仏様に手を合わす、その時の私達は前後際断の姿ではないですか?

小僧合掌🙏

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。