ほぼ毎日、観音経を詠んでいる恩林寺の小僧です。
当寺のご本尊様は聖観音様ですので、お勤めの時に観音経の読経を行っています。
子供の頃は『長いお経だなぁ~』なんて思ったことも😅
観世音菩薩普門品第二十五
観音経とは通称で、正しくは妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五といいます。
無尽意菩薩様がお釈迦様に、「観世音菩薩はなぜ観世音という名前なの?」とお聞きになった時、その理由をお説きくださった話が書かれています。
観音菩薩の功徳を讃え、私たちが苦しみから解放されるための教えを説く経典です。
五つの音色
五つの音が観音経の偈文の中に出てきます。
それぞれが異なる意味を持ち、観音菩薩の慈悲深い教えを表しているといいます。
妙音 観世音 梵音 海潮音 勝彼世間音 …
これら五つの音のことを五妙音といいます。
妙音
苦しみを抱える人々を救おうとする、悲しみや憐れみの声を表します。
例えるなら「大丈夫?」という声掛けのような感じです。
すべての苦しみから解放されたいという切実な願いが込められています。
観世音
相手と同じ立場に立って、その苦しみを共感し、救おうとする声です。
例えるなら「頑張れ~」ではなく「頑張ろうな~」という声掛けのような感じです。
私たちが誰かの痛みを感じ、その人のために何かをしたいと思う心の現れです。
梵音
清らかな心から発せられる、挨拶や呼びかけのような声です。
例えるなら「おはよう」とか「こんにちは」という感じです。
人と人とのつながりを大切にし、心を広く開くことを意味します。
海潮音
遠く離れた人々にも、自分の心が届くようにと願う、広大な慈悲の心を表します。
何度も止むことなく繰り返し、それでいて常に新たな気持ちの心がこもった声という感じです。
空間や時間を超えて、すべてのものに手を差し伸べようとする慈悲の象徴です。
勝彼世間音
世の中のすべての音を凌駕する、最高の響きを表します。
昨日より今日、そして明日に向かおうという希望の声という感じです。
煩悩や苦しみを超えた、悟りの境地における静寂で澄み切った心の状態を表します。
五妙音の意味合い
五妙音は、単なる音ではなく、観音菩薩の慈悲深い心の働きを表しています。
これらの音を通して、私たちは苦しみを抱える人々への共感や他者への思いやり。
そして自身の心の成長を促されているのです。
観音経の中でも五妙音は特に重要な言葉として登場します。
五妙音は、この経典の中心的な概念の一つであり、観音菩薩の慈悲深い心を象徴しています。
観音経との関係
観音経の中でも五妙音は特に重要な言葉として登場します。
五妙音は、この経典の中心的な概念の一つであり、観音菩薩の慈悲深い心を象徴しています。
また宗派によってその解釈や強調点が異なったりします。
天台宗
天台宗では、五蘊や十二因縁など、宇宙の真理を深く探求するようです。
五妙音は、この宇宙の真理を象徴する音として捉えられ、宇宙の根源的な響きと解釈するらしい。
特に「梵音」は、宇宙の根源的な振動を表し、すべての存在の基盤であるとされます。
真言宗
真言宗での五妙音は、真言の一種として捉えられ、仏の智慧と慈悲を具現化する言葉とされます。特に「勝彼世間音」は、すべての言葉を超越した、究極の真理を表す言葉とされます。
日蓮宗
日蓮宗での五妙音は、南無妙法蓮華経という題目の功徳と深く結びついており、衆生を救済するための力強い言葉と解釈するようです。
特に「妙音」は、法華経の教えそのものを表す言葉として理解されます。
浄土系
浄土系での五妙音は、阿弥陀如来の慈悲深い呼びかけとして捉えられ、衆生を極楽浄土に導くための音声と解釈されます。
特に「海潮音」は、阿弥陀如来の広大な救いの手が、まるで海の潮のように絶えず衆生に届いていることを表すとされます。
音を出す仏具
音を出す仏具は多くの種類があります。
特に黄檗宗では読経は法要などでたくさんの音を鳴らしています。
一般的なものとして寺院の鐘楼に吊り下げて鳴らす梵鐘は除夜の鐘としても有名です。
お堂の内外につるして鳴らす鰐口や雲版、仏教の儀式の中で鳴らす磬・木魚などがあります。
仏教では音を出す仏具のことを梵音具といいます。
この様なところにも、観音経の一部分が出てきます。
五妙音は時代を超えて人々に語り継がれてきました。
現代においても、人々の心に響き、生きる上で大切な指針を与えてくれています。
そして心の癒しや安らぎをもたらす言葉として捉えられるように思います。
今日も明日も梵音具で音を鳴らし読経して、誰かの為に祈りたいと思います。
小僧合掌🙏