草抜き
春から夏へと季節が移り変わるにつれ、生命力溢れる草花たちは目覚ましい勢いで成長します。
しかし、その勢いは私たちの悩みの種となる雑草にも及ぶのです。
そんなある日、本山の和尚様から、普段は足を踏み入れない「法堂の裏」の草抜きをお願いされました。
雲水である私たちは、レーキや鎌を手に、その場所へと向かいました。
しかし、そこに広がっていた光景は、私たちの想像を遥かに超えるもの。
足を踏み入れた瞬間、私たちは息を呑みます。
ジャングル
そこは、まさに緑が生い茂るジャングル。
私の背丈を超える草たちが、誰にも邪魔されることなく、自由奔放に伸び放題。
持参した道具は、この圧倒的な緑の壁の前では無力。
ノコギリや刈込バサミを急遽調達。
作業を進めるうちに、草の中に混じって低木が生えているのも見つかりました。
これらは根が深く、スコップにて力ずくで掘り起こすしかありません。
力自慢の同夏は引き抜いた後、木と一緒に斜面を転がり、切り終えた雑草のベッドにドスンと落ちていきました。
後日
後日、あの場所は本山の道具置き場として整備されることになりました。
和尚様方をはじめ、多くの方々がその便利さを喜んでくださいました。
私たちのささやかな働きが、誰かの役に立った。
その喜びは、私たち自身の心にも温かい光を灯してくれました。
そして現在でも、その場所は静かに、お墓参りに訪れる人々が通る裏道として、大切に活用されているのです。
あの日のジャングルが、今では人々の生活に寄り添う道となっていることを思うと、感慨深い気持ちになります。
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