【第三章 十二節】 提唱

【第三章 十二節】 提唱
【第三章 十二節】 提唱

提唱

摂心という修行中、提唱という時間があります。
老師(師匠)の講義で、坐禅を組みながら拝聴します。
『無門関』や『臨済録』といった高僧の語録や逸話を読んだり聞いたりして、自分の仏道に取り入れていくのです。

しかし、昔の言葉で書かれているものは読むだけでも大変…。
一般的に使われない様な漢字も多く、私は頭がパンクしそうでした。
かと言って話に耳を傾けても、すぐに現代語に直せるはずもなく。
老師は分かりやすく話してくれましたが、凡人の私には理解し難いものでした。

そんな中で隣を見ると坐禅に苦戦する者、その反対を見ると眠気と戦う者。
老師はそんな私たちに「私の話は耳で聞くのではなく、肌や毛穴で聞き、心で感じなさい。」と導いてくれました。

喝!

私は心で考えようとしましたが、やはり頭で悩んでしまいます。
身体に染み込ませようと目を閉じると眠気が襲います。
全体が静けさに包まれた時、老師は「喝!」と大声で叫びました。
私含め数名、身体がビクッとしましたが、老師はそのまま話を続けました。
禅宗では喝という言葉は怒鳴る事ではなく、励ますことを意味します。
黄檗希運禅師の弟子にあたる臨済禅師がよく使われていた言葉です。
提唱の中で各々の課題に向き合う私たちに喝を入れて頂いた老師に今でも感謝しています。

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。