5.大亀を放流す
その頃のある日のこと、禅師がたまたま市街に出かけられていますと、市場で長さ四尺(一尺は明時代では三十一・一cm)ばかりの大亀が売りに 出されていました。 禅師はすぐにお銭を払って亀を買い取り、河に放ってやられますと、亀は...
その頃のある日のこと、禅師がたまたま市街に出かけられていますと、市場で長さ四尺(一尺は明時代では三十一・一cm)ばかりの大亀が売りに 出されていました。 禅師はすぐにお銭を払って亀を買い取り、河に放ってやられますと、亀は...
しかし仏教の学問だけでは、まだどうも物足らぬところがありましたので、十八歳の時、寺の北山の獅頭岩に登って独りで坐禅し、一日三枚の柿餅だけで飢えをしのがれました。 坐禅を始めて三日目に一人の神人が月光の中に現われて、 「私...
十歳の頃、たまた温かが観音菩薩の名号を唱えているのを聞かれて深く感動され、それからは肉食を断ち、自分でも観音菩薩の名号を唱えられるようになられました。 十三歳の年には同じ郡內の開元寺に参詣され、仏殿にはいって本尊さまを礼...
木庵禅師がご誕生になったのは、中国の明時代も終りに近づいた頃の皇帝・神宗の萬暦三十九年二月三日で、日本では後水尾天皇が天子の御位に即かれ、徳川家康が二代将軍秀忠とともに次第に徳川幕府の基礎を固めつつあった時でした。家康は...
京都の南の郊外。宇治の里は、平安朝時代から貴族の別荘地として知られていました。今、この地訪づれてみますと、そこには当時の栄華を誇る平等院の殿堂や、寺社の面影を髣髴とさせる幾多の遺蹟を見ることができます。そのなかにあって、...