しかし仏教の学問だけでは、まだどうも物足らぬところがありましたので、十八歳の時、寺の北山の獅頭岩に登って独りで坐禅し、一日三枚の柿餅だけで飢えをしのがれました。
坐禅を始めて三日目に一人の神人が月光の中に現われて、
「私は天神である。お前は年が若いので、まだ仏道修行の正しい方法に通じていないようだ。
急いで寺に帰って髪を剃り、仏に帰依して受戒をすまし、 和尚方の教えに従って啓発を受けるべきである。
これが仏教を修行する正しい方法である」
と言ったかと思うと、いつの間にか消えて見えなくなっていました。
翌朝直ちに寺に引き返し、翌る年の十二月八日、仏成道の日(仏さまが悟られた日)に、髮を剃り、また二十歳になられると碧芝岩の樵雲大師から十戒を授けられ、大蔵経(仏教の一大叢書)を読み始められました。
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