頭陀袋059 平成29年5月号

仏師屋、東平の大里・恵比寿像

私は若いころ、ある旧家の信徒さんにおまいりに行った時の事です。

「アンちゃん、あんたは寺の子やで知っとっるかもしれんが、大黒さん、恵比寿さんは仏さまかな? それとも神様かな?」

「家ではな、昔から神棚の横にこうして大黒、恵比寿を祀っておるんやが、ちょっと見てくれ。」こわごわ祠の戸をあけて御開帳。にこやかな大黒さん、恵比寿さんが現れました。

「これは立派なものやな。 一寸見せてくれ」確かその時の記憶では 足の裏(台尻)、に大仏師大坪東平とかいてあったように思います。何年かのち、下呂町の旧家を訪れたとき、またもや大坪東平の大黒恵比寿に出会い、そこで大坪東平という人に興味を持つようになりました。

うちの檀家さんにも先祖が宮地の人という大坪さんがみえますが関係あるのかなあ。大坪東平は藤兵衛と言い、国府村宮地に住んでいた仏師であったが、同じ村の百姓、伝十郎の娘婿となり善一と改めました。地元ではブシヤ(仏師屋)と呼ばれたのに、なぜか仏像の作品例が少なくわずか神社の狛犬や随身像が残されているだけで、本業より近隣が認める大酒飲みだったようです。

ただ、大黒、恵比寿の作品はたくさん残しており、像の台尻に作品番号を打つており、私は六千十番まで確認しました。彼は村人に頼まれればすぐさま二つ返事で大黒、恵比寿を彫ったようです。こうして、晩年は飛州吉城郡国府村、宮地組、大仏師大坪秀右衛門を名乗り、亡くなる七十六歳まで彫りつずけ現在でも旧吉城郡の農家や、広く飛騨中の旧家の神棚の横に大坪東平の大黒、恵比寿の像がおまつりされています。

大黒天、恵比寿、毘沙門天、弁財 天、福禄寿、布袋尊、寿老人をまとめて七福神と言いますが、神仏混淆の時代を経て七福神は日本の国民に親しまれてきました。もともと、ご出身はインド、中国、日本の神様、いろいろです。

七福神は現世利益幸福を届けてくれます。

①大黒天
ヒンズー教のシバ神の化身、食べ物、財福を司る。

②恵比寿
イザナギ、イザナミの間にうまれた蛭子、大国主の命の息子とも言われている 漁業。

③毘沙門天
ヒンズー教のノクーベラ神。戦いの神と言われた。佛教に取り入れられる。武運成就。

④弁財天
ヒンズー教の神、仏教に取り入れられ音楽、弁財、財福、習い事、恋愛成就。

⑤福禄寿
道教の道士、天南星、南極星の化身、寿老人と同一視される こともある。長寿と福禄をもたらす。

⑥布袋尊
唐の末、中國に実在した禅僧、手にした袋から財宝を人びとびとに与えたといわれる。弥勒菩薩の化身と言われる。家庭円満

⑦寿老人
幸福長寿、福徳、智慧を授ける。

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古田住職
皆さん、こんにちは。住職の古田正彦といいます。 私は「お寺に行こう 和尚さんと友達になろう」をキャッチフレーズに進めています。 小さなきっかけでも仏様と結ばれることを喜びとしています。