木鶏鳴子夜

朝が苦手な恩林寺の小僧です。

冬の朝は外が暗く、布団が暖かいため、いつまでも寝ていられそうな気がします。
最近は僕も目覚めが悪いように感じています。

朝に鳴く鳥

まだ暖かかった頃の話です。
日曜日の朝にお寺の近くを散歩していると、何かの鳴き声が聞こえてきました。
何の声だろうと思って歩いていると、道路の右側に小さな小屋があり、そこに鶏がみえたのです。
鶏が朝鳴くことは知っていましたが、実際に目の当たりにしたのは初めてでした😲
改めて鶏は朝に鳴くんだとなぁ~🙂理解しました。

木鶏子夜に鳴く

宋代の風穴延沼ふうけつえんしょうの言葉で、原典は『荘子』の闘鶏を育てる名人の話。
その話とは…
斉国の王様が、闘鶏を育てている名人(紀渻子)に依頼し名人は約束しました。

斉王

強い鶏が欲しい

紀渻子

訓練してからお渡しします。

そこから数ヶ月経ったのですが、名人は一向に王様の元へ届けに来る様子がありません。
仕方なく王様はその名人の元へ訪ねました。

斉王

そろそろ他の鶏と戦わせてみたい

紀渻子

もうしばらくお待ちください

翌る日も翌る日も、訪ねるたびに断られました。
ある時、今度は名人から王様の元へ訪ねてきました。

紀渻子

こちらが強い闘鶏です

まさに木で出来た鶏のように虚勢を張ったり、他の鶏を見て驚いたりしない鶏だったのです。
戦う以前に他の鳥が逃げていくような闘鶏が王様の目の前にあったのです。

人も同じ

この強い鶏は、その場にある自然体だけで他の鶏の敵対心を無くしたのです。
つまり、強さというのは言動や見た目ではなく、中身が大切だということではないでしょうか?
人間は色々な服を着て、様々な言動を取ります。
見た目や態度、肩書きだけで誰かと差をつけたがるのです。
心の強い人はきっと他人と見比べないでしょう。
だからこそその身一つに多くの人望が集まるのです。

夜に鳴く鶏

この話には続きがあります。

斉王

なぜこのような鶏を育てられたのか?

紀渻子

いえ、飼料などはどこでも同じ物を使います。
私の昼間の活動時間は、他の飼育員と比べて短いでしょう。
他の皆さんは私の活動を見て怠けていると思っていそうですね。
しかし私は夜に育てていたのです。
だから夜になると私の鶏たちは鳴き始めるのです。

この世の中には努力している人が沢山います。
自分から見えないところで、その人は頑張っているのです。
だからこそ、自然に堂々としていられるのです。

小僧さん

小僧は服が大好きで多くのものを持っています。(断捨離しないと…)
他人と見比べることもなく、自分の中のファッションとして楽しんでいます。
もう一度言いますが、大切なのは自分自身の中身です堂々としていられるよう、
せめて悪いことだけはしないように心がけていきたいですね。

小僧合掌

紀渻子爲王養鬭鷄十日而問鷄已乎曰未也方虚憍而恃氣十日又問曰未也猶應嚮景十日又問曰未也猶疾視而盛氣十日又問曰幾矣鷄雖有鳴者已無變矣望之似木鷄矣其德全矣異鷄無敢應者反走矣

『荘子』外篇 達生第十九より『望之似木鶏矣』

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。