太陽光に(頭を)焼かれている恩林寺の小僧です。
日焼けをして、黒焦げになってしまいそうな暑さですね。
エアコンのある場所から日向へ出ると、地獄の世界にいるようです。
以前からお話している『日本霊異記』にも度南の国という「地獄」のお話があります。
トラウマになりそうな出来事が書かれています。
夏のひと時にちょっぴり怖~い話をどうぞ!
膳臣広国の死後
平安時代、膳臣広国という人物がいました。
広国は優しい性格で周囲から頼られる存在でした。
しかし、ある年の9月15日、亡くなってしまうのです。
周囲の人々は悲しみ、手厚く葬ることになりました。
お葬式が執り行われ、火葬の準備をしていたところ、なんと広国が起き上がったのです。
周囲はビックリ仰天!広国は生き返ったのです。
そしてこう話し始めました。
度南の国
ふと目を開けると、死んだ広国は大人と子供の二人の従者に連れられ、闇の世界を歩いていました。
目の前には黄金の橋が見え、その向こうには見たこともない素晴らしい都がありました。
都市の真ん中には大きな黄金の宮殿があります。
ここは一体どこなのだ?
ここは度南の国と言います。
広国一行は橋を渡り、宮殿を目指して歩いていきました。
宮殿の中
いざ宮殿の中に入ると、奈良の大仏よりも大きい方が玉座に座っておられました。
この方が度南の国王です。広国は王の前に連れ出されてしまいました。
王が合図をすると、目の前に昔に昔死んだ広国の妻が現れたのです。
しかし、その様子は生前と変わっていました。
額には鉄の釘が打たれ、頭から尻まで太い釘を打ち込まれた姿だったのです。
妻は広国に「私はお前に追い出されて死んだのだ」と言います。
しかし、そんな記憶が一切ない広国は否定します。
その様子を見ていた度南の王は、広国の全ての行いを記録した手帳を使い、細かく調べました。
そしてこう言います。
広国にはそのような言動がない。お前は下がってよいぞ。
広国は無罪であると判定され、生き返ることを許されたのでした。
広国の父
度南の国から帰る途中、広国は自分の父親を見かけます。
その様子はまさに残酷でした。
体に37本の釘を打たれ、焼けた銅の柱を抱かされています。
鬼たちが、その背中を肉がちぎれ落ちるほど鞭で打っています。
さらに、落ちた広国の父の肉をかき集め、体を再生させて再び責め苦を与えていました。
広国の父が犯した罪は、動物を殺しては高値で人に売りつけたり、困っている人には米を貸して利子を取ったり。
親孝行もせず人の物を奪ったり、人の妻を犯したり。
数えきれないほどの罪がありました。
広国が伝えたこと
もう、あのような世界は見たくない。
そう思った広国は、仏教を熱心に勉強し、信心したそうです。
度南の国というのは地獄のことであり、国王はまさに閻魔大王のことです。
黄金というのは赤みを帯びた黄色のこと。
きっと炎を表現しているのでしょう。
悪いことをすれば地獄へ行く。これは皆さんが知っている事実です。
しかし、地獄がどれだけ残酷な世界なのかは想像がつかないと思います。
行った記憶があればよいのですが…😅
仏様は見ています
しかし、このようなお話を読むと悪い行いは避けようと思えるようになります。
広国の妻、父親の姿は見たくもありません。
広国は優しい性格だったため、悪さもなく無事この世に戻ってこれたのでしょう。
「ちょっとぐらいなら悪さをしても大丈夫。」
こんな行動も、度南の王は見ています。
日々の生活から行動を気を付けたいですね。
このお話の最後に、従者について書かれている部分があります。
『子供の従者は広国が幼い頃に写経した観音経の化身である。』
大人の従者については書かれていません。
私は生き返った後の精進している広国が大人の従者だったのではないか…と思っています。
毎日の行いは、仏様がちゃんと見ています。
陰で頑張った努力も閻魔さまは閻魔帳に記帳しています。
同行二人ではないですが、仏様が近くで応援してくれていると思えば、これからの生活が良いものになっていくと思います。
地獄のような暑い日々が続きますが、負けぬよう小僧も精進していきます。
小僧合掌
私は度南の国を見てきた。その話を皆の者に伝えよう。