小僧が好きな仏さま④弥勒菩薩

弥勒菩薩
弥勒菩薩

マナー悪い人が苦手な恩林寺の小僧です。

最近「座席に足を載せるマナー違反が多い」というニュースがありました。
バスや電車で、他人が今後座るであろう席に足を載せているというものです。
その場では他人に迷惑をかけていなくても、後から乗る人の気持ちを考えてないように感じます。
私が京都に住んでいる時、足を組んで座っている人がいました。
この「足組み」も、混んでいる時は迷惑になります。
このような行動は慎まなければなりませんね。

弥勒菩薩

足を組んでいる仏様で広隆寺に有名な方がおられます。
片足を他の片足のももの上に組んで座り、指を頬に当てて何か考えている仏様…その名を「弥勒菩薩」と言います。
サンスクリット語では「マイトレーヤ」と言い、名前には慈しみという意味が込められています。

実在した人物であり、子供の頃から成績優秀、優しくて真面目であったと言われています。
お釈迦さまに出会い、修行を重ね、お釈迦様より先に入定したとされています。
仏像を見ていると、若々しく感じるのは私だけでしょうか?

また、この足の組み方は「半跏思惟はんかしゆい」と呼びます。

半跏思惟というのは、私たちを救うためにどうしたら良いか悩んでいる姿を意味しています。
海外の作家、ロダンが作った「考える人」という像と似たような形をしていますよね。
人は考える時、つい顎に手を当てて抱え込んでしまうようです。

登場するお経

弥勒さまは、たくさんのお経に登場します。
例えば『スッタニパータ』『華厳経』『阿含経』『般若経』『法華経』『大無量寿経』『阿弥陀経』『涅槃経』など。
特に弥勒菩薩について集中的に説かれているお経は、『弥勒下生成仏経みろくげしょうじょうぶつきょう』『弥勒大成仏経みろくだいじょうぶつきょう』『観弥勒上生兜率天経かんみろくぼさつじょうしょうとそつてんきょう』の3つ(弥勒三部経)です。
お釈迦さまは、弥勒さまを「私の次に仏のさとりを開く後継者だ」といわれています。
観弥勒上生兜率天経には「弥勒は今から12年後に死んで、天上界の一つである兜率天とそつてんという世界に生まれるであろう」というお釈迦様の言葉が書かれています。
続いて「弥勒が人間界で死ぬと、兜率天の座席に突然姿を表し、座禅を組んで座るであろう。そして昼夜二回、天人たちに教えを説いて導き、56億7千万年後にまた人間界に生まれ変わるであろう」と説かれています。

未来の仏さま

弥勒さまは、「未来仏」と呼ばれています。
今は菩薩ですが、将来は如来になることをお釈迦さまに約束されています。
その将来とは、約56億7000万年後…。
だいぶ遠い未来ですね。
生きているうちに一目見たいと思っていたのですが…叶いそうにありませんね。
今後くる未来のために、私には何が出来るか、どうしたら衆生(この世界全て)を救えるか、弥勒さまは常々考えておられるのです。
もともとは如来で無いため、弥勒菩薩像は造られる予定ではありませんでした。未来の仏さまなら、未来に作るべきだと考えていたからです。
しかし、昔の人は未来が待ちきれず、「菩薩」の状態で造形したようです。
それがキッカケで、観音さま、お不動さんなど、如来以外の仏さまが造られたのではないかというお話もあります。(説によって異なります)

出現する時期

雑心論では、五十六億六百万年。
菩薩処胎経賢愚経では、五十六億七千万年。
一切智光明仙人経では、五十六億一万年。
定意経では五十六億七十六万年。
このように経典ごとに異なる数字になっています。
気が遠くなるほどの未来…ということだけは共通していますね😅

弥勒下生成仏経では智慧第一といわれる舎利弗がお釈迦様に尋ねました。
「弥勒菩薩は、兜率天からこの人間界に生まれて人々を救うのでしょうか?」
それに対してお釈迦さまが言いました。
「舎利弗よ、今から弥勒菩薩が未来の人間界に生まれる時の様子を見せよう」
虚空に未来の人間界が映し出されたそうです。
人間界に生まれてきた弥勒は、出家したその日に華林園の竜華樹という菩提樹の下で、仏のさとりを開き、弥勒仏となったそうです。
「今ここに集まってきた人たちは、かつてお釈迦さまの教えをよく守ってきた人ばかりである。過去世の善によって、また私に会えたのである。お釈迦さまは、慈悲によって人々にまことの言葉を語り、私にあなた方を救うように託されたのである」
弥勒仏は3回の説法を行い、多くの人がさとりを得ることができました。
この弥勒菩薩が仏のさとりを開いた日の3回の説法を「龍華三会りゅうげさんえ」といいます。
菩薩処胎経では、さとりを開いた後の弥勒菩薩が「婆意多利耶如来ばいたりやにょらい」となったと書かれています。

弥勒信仰

弥勒信仰には主に二つあります。
上生信仰と下生信仰です。

上生信仰

自分が弥勒菩薩のいる世界「兜率天」に生まれ、将来、弥勒さまと一緒に人間界に生まれたいと願う信仰です。
上生信仰は、法相宗などの奈良仏教、天台宗や真言宗で行われていました。
真言宗の開祖、空海も上生信仰をしています。
しかし、自力による大変な修行を行わねばならず、下生信仰が生まれました。

下生信仰

将来、弥勒さまがこの世に現れて仏の悟りを開く時、弥勒さまによる救済に預かりたいというものです。
天台宗の開祖、最澄は「ともに弥勒に会うときを待ちたいですね」という手紙を空海宛に書いています。
空海も、後世になると、高野山奥の院で生きながら弥勒菩薩の下生を待っているという伝説が生まれました。

実は…布袋さん!?

黄檗宗萬福寺にある、布袋さん。
笑顔が素敵で、私たちの表情まで柔らかくしてくれます。
そんな布袋さんは、弥勒菩薩さまの化身なのです。
萬福寺では、大雄本殿(本堂)にお釈迦さま、天王殿(本堂の前)に布袋さんが座られており、布袋さんの後ろには韋駄天さんがおられます。
お釈迦さまの時代から何万年先の将来まで、仏さまは見守っておられるのです。

余談ですが、七福神のうちの一人である大黒天さんは、インドでは何でも破壊する神様なんですよ〜!(シヴァ神といいます。)
破壊しなければ再生、成長することも無い。
いつも宝船の上では笑顔なのに、なかなか怖い方ですよね!

小僧さん

弥勒菩薩はお釈迦さまの後継者であるように、私も和尚さんの後継者であります。いや、なれるように頑張らなければ!
そのためには、マナーやルールはきちんと守らなければなりませんね。
あと少しで、運転免許証を取得して一年が経ちます。初心者マークが外れる時だからこそ、気を付けて運転したいと思います。
なるべく迷惑をかけないよう、相手を不快な思いにさせないよう、普段の生活から考えていきたいものです。

小僧合掌

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恩林寺の小僧さん
檀信徒の皆さんに『一休さん・小僧さん…』様々な愛称で呼ばれております、鳳雅禅士です。「一日一善」を心がけながら、日々精進していきます。感謝・合掌。